So-net無料ブログ作成
検索選択

英雄たちの選択「すべては民のために!“名君”徳川宗春の挑戦」 [英雄たちの選択]

スポンサードリンク




今日は尾張藩の殿様・徳川宗春の話でした。この人については『逆説の日本史』で初めて読んだのですが、世界史を何歩も先を行く先進的な人物であったと冒頭で紹介されています。元禄文化の名残が残る江戸で町人とも接して若い日を過ごしたと言いますが、やがて吉宗と接することとなります。吉宗も宗春も生まれついての後継ではないため、広い人物と接して視野が広くなると大石学さんが指摘しています。宗春の若い頃に出していたお触れに、朝鮮の医学書の価格を安くせよというものがり、庶民のことを考えていたことがわかります。


しかし、吉宗と宗春とでは経済政策の点が全く相いれませんでした。吉宗の質素倹約令により景気は停滞してしまいますが、尾張藩主となった宗春の経済政策は正反対で東照宮の祭りの規制緩和を行い、質素倹約例以前の大規模なものに戻しました。藩士の芝居見物も許可し、芝居小屋が増えて新たな繁華街が生まれ商業も活発化し、伊勢の名物なども名古屋で食べられるようになりました。人口は五万人から七万人へと増え、江戸と京に続く大都市になるという道を開いたのです。藩士に歌舞伎見物に行って良いなどというのは破格の待遇で、そういう「悪所」に行ってはならないというのが武士としては普通でした。


法令が多過ぎると人の心は萎縮するというのが宗春の考え方で、これは吉宗とは正反対のものでした。宗春は名君の評判が広まり、吉宗にとっては見過ごせない存在となりました。宗春の政治思想をまとめた「温知政要」には「千金を溶かしたものでも人の命には変えられない」という人命尊重の思想が見られ、人の価値観は多様で、どれが優れているわけではないという近代の自由主義に近い思想もすでに持っていました。これはヨーロッパの啓蒙思想より半世紀も早いもので、宗春は日本最初の啓蒙君主とも言われます。


こうして名君との評判が立ち始める宗春ですが、江戸での物見遊山を宗春に問いただされます。ここで今回の選択です。今まで通り規制緩和路線を続けるか、吉宗に従い緊縮政策に改めるか?宗春は付家老を通じて中央との関係改善も図っていますが、それでも吉宗に逆らい続けることには不安がありました。


ここでヒントになるのが享保一八年の江戸での打ち壊しです。吉宗の緊縮政策は破綻に近づいていたのです。これを考えるとやはり独自路線を続けたほうがいいように思えてきます。飯田さんも吉宗に従う路線を選びましたが、従うふりをして実はあまり従わないようにすればいいと言っていたので実質的に独自路線と同じでしょう。心情的にはこれは誰もが宗春を支持したくなりそうです。


結局、吉宗の詰問に対して反論し、独自路線を継続することにしました。そして宗春は領内で大規模な巻狩りを計画します。これは軍事演習のためと思われますが、実は巻狩りをすることで経済を活発化させる目的があったようです。しかしこれは外からは将軍家との騒乱を計画しているように見えてしまうので中止されてしまいました。


良いことずくめに見える宗春の経済政策にも弱点はあります。関東以東ではこのような都市経済が成立するかどうかは難しいと飯田さんは指摘し、東北ですと全人口を食糧生産につぎ込んでもまだ足りないくらいの状態でした。吉宗は民を飢えさせてはならない責任があるので、全国を治める吉宗としては宗春モデルを良しとするわけには行かなかったのかもしれません。


結局、宗春が参勤交代で江戸へ行っている間に重臣が宗春の規制緩和策をすべて廃止してしまいました。クーデターが起きたのです。宗春は謹慎を申し付けられ、69歳でその生涯を閉じました。宗春は死後も許されず尾張藩でも宗春の記録はほぼすべて抹消されましたが、庶民は宗春の世について語り継いでいます。民を慈しむ宗春の政治姿勢は尾張の末端にまで伝わっていました。


もし宗春の政治がもっと続き、商業に課税する方法を思いついていたら幕藩体制はもっと早く終わっていただろうと飯田さんは指摘していましたが、宗春の政策はそれくらいの先進的なものでした。生まれる時代が早すぎたと思える程の人で、今回はこの番組史上一、二を争うくらい面白い回だったのではないかと思います。


スポンサードリンク



nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。