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[読書]『知れば知るほど面白い 「その後」の三国志』 [三国志]



三国時代の終焉にはどこか「打ち切り」感が漂います。日本の戦国時代はそのあとに徳川の250年間の平和が訪れるので大団円という感じがありますが、三国志はそのあとに晋の短い統一を経て五胡十六国の大混乱時代を迎えます。三国時代の終わりはさらなる大混乱の幕開けでしかなかったのです。


本書では諸葛亮没後から(正確には諸葛亮の南征や街亭の戦いなども含んでいますが)、晋の統一までの時代をわかりやすく解説しています。この時期の三国志はなじみのないことも多く、呉の滅亡の様子や司馬師・司馬昭の活躍などについては結構ページが割かれているので、こうした部分が知りたい方にとっては良いかと思います。


ただ全体を通して思うのは、どうにも登場人物の「小物感」が拭えないということです。孫権の死は「英雄時代の終わり」だと坂口和澄さんは言っていますが、姜維や陸抗・丁奉などこの時代を支えた人物に諸葛亮や陸遜ほどの存在感は感じられません。唯一大物と呼べるのは司馬懿くらいでしょうか。その司馬懿にしても公孫氏を滅ぼすという大功を挙げてはいるものの、議の簒奪に受けて布石を打っていく様子はひたすら陰湿で、これに対抗する曹爽や諸葛誕などにしても、どうも冴えない印象があります(これは陳寿が諸葛誕を悪く書いているせいもあるでしょうが)。


孫権亡き後の呉を待っていたのも孫皓の暴政だし、蜀では劉禅が黄皓の甘言に乗せられて政務を顧みなくなっていました。個人レベルで見れば郭淮のような立派な人物も少なくないのですが、三国ともマクロには衰退に向かうばかりでなんとなくこの時期の歴史を追うことが虚しくなってきます。


魏を簒奪した晋の初代皇帝・司馬炎は有能な人物だったと言われていますが、結局は傀儡に過ぎなかったようです。多くの宮女を抱え荒淫にふけっていたのも、実権を持てない虚しさからだったのかもしれません。その晋も八王の乱で皇族同士の争いとなり、結局華北を失うはめになります。もう何も救いがないというか、ひたすら無常感しか感じられないのがこの頃の歴史です。


そういうわけで何とも読んでいて疲れを感じる三国志後期ですが、諸葛亮没後をまとめて扱った本は少ないので、この時期について概観するには良い本だと思います。
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[読書]渡邉義浩「魏志倭人伝の謎を解く」 [三国志]

倭人伝を読んでいる人は多いですし、考古学の比重の高くなった現在でも未だに倭人伝が邪馬台国の実像を探る上で重要な史料であることに変わりはありません。しかし多くの人は倭人伝しか読んでいなくて、その中だけで結論を出そうとする傾向があります。しかし倭人伝とは三国志の一部なのであり、その肝心の三国志がどのような史料なのか、どのような状況で何を目的に書かれているのかを知らないと、倭人伝を本当にきちんと読んだことにはならないのです。本書は三国志関連の書籍でおなじみの渡邉義浩さんが、三国志全体の文脈の中から倭人伝を読み解いていくというものです。


まず倭人伝を読む大前提として、三国志の著者である陳寿の来歴から知る必要があります。陳寿は蜀に仕えた後晋に仕えた人で、晋は司馬氏の王朝です。つまり陳寿は司馬一族を持ち上げる必要があったのであり、そのために三国志の内容も箇所によっては偏向が含まれる内容となっています。渡邊さんはその一例として、なぜ三国志には東夷伝があるのに西域伝がないのかについて解説します。それは、西域の大国である大月氏(クシャーナ朝)を朝貢させた功績のある曹真は晋王朝の始祖である司馬懿のライバルであり、この功績を隠すためだったのです。


そして東夷伝の内容にも偏向が含まれています。遼東には公孫氏の政権がありましたが、この公孫氏を滅ぼしたのが司馬懿です。その結果として倭国は魏に朝貢することが可能となったので、大月氏を朝貢させた曹真に対抗するため、倭を実際以上に優れた国家であると描写する必要があったのです。例えば倭人は礼をわきまえているという描写がありますが、これに対して韓族には長幼・男女の別がなく、教化が行き届いていないと書いています。朝鮮の方が中国に近く、普通に考えれば倭よりも韓の方が中国文化に近いはずですが、司馬懿が朝貢させるのに貢献した倭人は政治上の都合で良く書かれる必要があったのです。こうした事情を踏まえなければ倭人伝を読めたことにはなりません。


大月氏との釣り合いで倭が実際よりも大国と言う設定になっているという説は岡田英弘さんが既に書いていることですが、本書はさらに丁寧に三国志や儒教の経典などを読んでいき、邪馬台国は大和であると結論づけています。考古学に関しては纏向遺跡の解説を載せているだけですが、文献史学による倭人伝の解釈としてはかなり充実した内容です。三国時代を専門とする著者の解釈であるだけに、今後倭人伝に関しては本書を無視することは難しいと思います。
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[読書]仁藤敦史 卑弥呼と台与 倭国の女王たち [三国志]

日本史リブレット 人シリーズの一番最初の本となりますが、人物としての卑弥呼や壱与にはほとんど触れられず、主に倭国と魏・公孫氏との関係性について書かれています。これは資料が倭人伝しかなく人物像がよくわからないということもあるでしょうが、当時の倭国の状況について東アジアの状況の中で考えるという意図があるようです。


本書では邪馬台国は畿内であるという前提で話が進められていきます。これは当時の地理観として倭が呉の南方海上にあるという認識があり、そのために倭人伝の旅程がおかしくなったという説に則っています。このような誤った地理観があったため、倭は魏にとって外交上非常に重要な国家ということになり、そのために三国志東夷伝の中では倭の扱いが最も大きくなっていると推測されています。倭の風俗が南方系になっているのもこの地理観によるもので、あまり現実の描写ではないのだと考えられます。


この倭国を束ねていた卑弥呼ですが、魏以前には遼東の公孫氏と関係を持っていたことが推測されています。公孫氏は後漢皇帝から「海外の事」を委任される立場にありましたが、公孫氏は楽浪郡を通じて倭と関係を持っていたと考えられるのです。公孫氏が義に滅ぼされてすぐに卑弥呼が魏に使者を派遣していることが高く評価されていますが、公孫氏を通じて中国大陸の情報を把握していれば、こうした動きが可能であったのも不思議ではありません。


この本で初めて得られた見解は、卑弥呼が「共立」されて女王となった理由は、倭人伝に記されている「大人」層が小国同士が対立し争っていると共倒れになると考えた結果であるとしていることです。こうした場合のリーダーは女性の方が向いているということを「英雄たちの選択」で誰かが言っていましたが、そうなのかもしれません。調停を重んじるリーダーは戦争のリーダーとなる男性より女性が向いていた可能性は十分に考えられます。


そして、卑弥呼が魏から受け取った鏡は祭祀に使われていただろうとも書かれています。卑弥呼の宮殿には1000人もの侍女が仕えていたと言われていますが、こうした巫女的な人物を通じて鏡を全国に配り、統一的な祭祀を行っていただろうということです。それまでの祭祀は銅鐸・銅剣など地域性の強いものでしたが、際しを統一した点が卑弥呼の画期的な点であると評価されています。卑弥呼は「鬼道」を行うシャーマン的な女王と思われていますが、鬼道もこうした開明的な点があり、必ずしも未開な宗教のように扱うべきではないようです。


この本もそうですが、ここ最近邪馬台国を論じている本はほぼ全て畿内説に立ったものでした。纏向遺跡よりも有力な遺跡が九州から出てこなければ、九州説の巻き返しは難しい状況のようです。山川出版社の「詳説日本史研究」も考古学の知見をもとに、畿内説が有利と書いています。九州説の立場で読んだのは森浩一さんの「倭人伝を読みなおす」くらいでしたが、いずれにせよまだ決定的な証拠があるわけではありません。

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[読書]石井仁『魏の武帝 曹操』 [三国志]

三国志関連の本で全面的にお勧めできる本はなかなかないのですが、この本は手放しでお勧めできる本です。内容は曹操の詳細な伝記ですが、曹操の祖父にあたる曹騰の時代から後漢の政治状況についての詳細な解説があり、曹操がどのように政治の表舞台に登場したのかがよくわかるようになっています。マイナーな人物も数多く登場し、出てくる人物に退位しても通俗的なイメージ通りに描かれている人は一人もいません。おそらくこれが本当の「三国志」なのだろうなと思わせる内容です。


曹操を最初に評価した人物といえば橋玄ですが、曹操の「猛政」はこの橋玄がモデルではないかと指摘されています。渡邉義浩さんがよく「儒将」として取り上げる橋玄なのですが、度遼将軍として異民族と対峙し、辺境統治にも活躍した橋玄は文武両道の名将で、確かに後の曹操を思わせる活躍を見せています。曹操は「超世の傑」と言われる程の才能の塊でしたがその曹操もゼロからでてきたわけではなく、見習うべき人物が存在していたのです。


そして意外なことですが、曹操に影響を与えた人物として霊帝が挙げられています。霊帝は横山光輝のマンガで「霊帝は盲帝であった」と言われるように、宦官に操られていただけの無能で気力に欠ける皇帝だと思われていますが、実際には賢く鋭気に富む人物だったようで、積極的に軍事・政治改革を行っています。霊帝は西園軍を新たに設置し、牧伯制を実施して行政改革を行いますが、このコンセプトを曹操が継承し、魏の都督制度に発展しているというのです。この点に着目しているのは石井さん以外にはいないのではないかと思います。


霊帝といえば、官職を売りに出したことが批判されていますが、その動機はひとつには軍事費の捻出のためだったのではないかということも指摘されています。歴史上の人物の評価は簡単にはいきません。これは後で書こうと思っていますが、絶対王政期のフランスでも売官制が存在していて、ブルボン朝の財政を支える重要な財源となっていました。霊帝を再評価するには現代の価値観からまず離れなくてはなりません。



全般的に硬い本で、三国志を全く知らない人が読むには難しい内容もありますが、曹操に関心のある人、史実の三国志が知りたい方にとっては多くの発見がある本だと思います。
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[読書]渡邉義浩・高橋康弘浩「知れば知るほど面白い 英雄たちで知る三国志」 [三国志]

三国志関連の著書の多い渡邉義浩さんが監修しています。そのせいか内容は割と固めで、渡辺さんがよく使っているキーワードである「儒将」という言葉も出てきます。この言葉は渡邉さんしか使っていないので少し注意が必要だと思っているのですが、「儒教の教養を身につけた文人将軍」という雰囲気を表す言葉としてはわかりやすい言葉です。


内容は正史ベースで、荀彧や郭嘉・司馬懿などの名士層から関羽や張遼のような純粋な武将・ 羊?や司馬炎など晋の人物までバランスよく取り上げられており、渡邉さんの他の著書とも内容はそれほどかぶっているわけでもないので他の本を読んでいたら楽しめないということもありません。特に難しい内容ではないですが、三国志について多少の知識のある人向けの内容です。


呉の人物として魯粛が取り上げられているのはいつも通りという感じですが、魯粛が曹操との対決を考えた理由として魯粛が徐州の出身であり、その徐州で早々が大虐殺を行ったことが挙げられています。魯粛と同盟した諸葛亮も同じく徐州の出身であり、もともと曹操に反感を持っている同士が組んだことになります。早々の徐州大虐殺は短期的には陳宮の反発を招き呂布を引き入れてしまうという結果となりましたが、長期的には徐州の名士に反曹操感情を植え付け三国鼎立の状況を生んでしまったのです。


呂蒙への言及も興味深いものがあります。魯粛の後継者として蜀と対峙した呂蒙ですが、蜀と協力して魏に当たる戦略を取っていた魯粛とは異なり呂蒙は蜀に対しては強硬派で、魏と協力して蜀を攻め関羽を処刑してしまいました。結果として荊州を手に入れることができましたが、関羽の死は蜀の弱体化を招き、蜀とともに魏に当たることは難しくなってしまいます。呂蒙は優れた将軍ではありましたが、魯粛ほど先を見通す能力は持っていなかったようです。


渡邉さんの本というと「名士」をキーワードとして三国時代を分析するという色合いが強いのですが、この本にも名士は出てくるもののそれほど強調されていると言うわけではなく、幅広くいろいろな人物について取り上げているという感じです。袁紹の戦略が光武帝と同じという分析も面白かったですね。
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趣味の専門化について [三国志]

最近は近現代史の本も読んでいて、多少詳しくもなったせいかこの分野も楽しくなってきました。かと言ってここに深く踏み込んでいく気もあまりなく、やはり古代中国あたりを中心に探求していくほうがいいのかな、という感じが最近はしています。史記も最初読み始めた頃はそれほど面白くも思いませんでしたが、最近は人物のつながりもかなり見えてきました。これは三国志でも同様です。歴史というのは余りにも範囲の広い学問なので、ある程度ジャンルを絞らないととても探求できるものではないし、何事も深く突っ込んだほうが面白いものなので、あまりあちこちに浮気している場合ではないかな、という感覚が強くなっています。


歴史を探求する場合、できるだけ一次史料を読んだほうがいいと思っているのですが、古代中国という分野だとこれが比較的楽です。史記や漢書・後漢書や三国志はいずれも和訳が出ています。春秋左氏伝や論語や韓非子などの古典も多く日本語訳されていますし、古代史は史料もそう多くありません。少ない史料からあれこれと想像を働かせる楽しみもあります。古代史といえばローマ史やギリシア史も比較的一次史料の和訳が手に入りやすい分野です。以前は隋唐五代あたりの勉強もしていましたが、新唐書や旧唐書の和訳があるわけではないので、漢文をそれほど自在に読めるわけではない私にはちょっと厳しいものがあります。所詮は趣味に過ぎないので、あまりここで苦労する気もなく結局古代史に落ち着きそうです。


今までイスラム史やロシア史、中世ヨーロッパ史の本なども断片的に読みましたが、やはり数冊本を読んだレベルでは深い理解が得られるわけではないですし、何より自分で一次史料を読めないことにはそれぞれの本が正しい事を言っているのか自分で検証することもできません。モンゴル史なども面白いと思っていますが、私の語学力の問題であまり深く探求するのは厳しいかな、とも思っています。最も、本当に好きなら語学も学びたくなるでしょうから、その程度の熱意しかないとも言えますが。


趣味で歴史を学ぶなら史料を読むのはプロである歴史家に任せて我々は歴史家の書いた本だけ読むというのも手ですが、関心の深い分野だとどうしてもそれでは物足りず、自分で史料を読みたくなります。「その分野の史料を読むために語学を学びたくなる」かどうかでそのジャンルへの熱意を測れるかもしれません。戦国時代が本当に好きで学びたい人は古文書の読み方も勉強するでしょう。

三国志13の発売日は12月10日に決定 [三国志]

三国志13の発売日が2015年12月10日と決まったようです。ファミ通などの情報によると全武将プレイが可能になるとのことですが、これは三国志7・8と同様ですね。おそらく部下を連れて放浪したりすることもできるのでしょう。劉備は一時期やけを起こして呉巨を頼り蒼梧に落ち延びようとしていたこともあるので、可能ならそんなプレイを試してみたいとことです。


コーエーは三国無双に力を入れて以来、どうも本家の三国志シリーズの方は今一つな印象があります。日本のストラテジーが洋ゲーに比べて今ひとつはやらないのは無双でやりたいことが概ね実現できているからだという意見を聞いたことがありますが、無双は爽快感を得ることが目的のゲームなので、ストラテジーでやりたいことはまた違います。囲碁将棋のような楽しみがストラテジーに求められているものですが、これはCivが一番うまくやっているでしょう。信長の野望もそうですが、日本のストラテジーはキャラゲーの要素が強いので、武将萌えの人たちは無双に流れているのかもしれません。


今まで一番遊んだ三国志はⅣなのですが、これは「統率」という数字があり軍師系のキャラにも戦場で活躍する機会がありました。同士討のような計略も結構使い勝手が良かった記憶があります。知力の高い人物を戦略戦術で活躍させる機会が多いゲームになることを期待しています。


三国志9では異民族が強かったのですが、そろそろ鮮卑や南越・高句麗なども勢力としては使ってみたい気がします。邪馬台国は流石に無理でしょうが何らかの形で出して欲しいものです。三国志は未だに9の評判が良く、11・12の悪評をなんとか13で盛り返して欲しいものです。
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[読書]井波律子「中国人物伝Ⅱ 反逆と反骨の精神」 [三国志]

ちくま三国志の役者の一人でもある井波律子さんの人物を中心とした中国史です。この巻は三国時代~南北朝時代を扱っているのですが、基本南朝の人物ばかりで北朝の人物は顔之推しか出てきません。南朝の貴族社会の中心人物を主に取り上げているのですね。



さて、三国志の部分についてですが、あまり通説と違った解釈や独自の見解などは見られません。諸葛亮は誠実な人物として、司馬懿は実に陰険な人物として描かれます。実際にそうだったのだから仕方ないでしょうが、もう少し一般に知られている人物像とは違う一面を描いても良いような気はします。曹操と劉備や孫堅父子・孔融や陳林などの扱いもよく言えば無難、悪く言えばいつも通りといった感じです。なので三国志についてあまり知らない人が読む分には良いでしょうが、よく知っている人には物足りなさが感じられるかもしれません。東晋では王導や王敦・謝一族や陶淵明などが取り上げられていますが、読み物としては面白いですがこの時代の社会構造などがわかるようにはなっていません。



この時代を取り上げるならば私には前秦の苻堅などは外せないと思っているのですが言及はなく、淝水の戦いについても少ししか言及がなくそこが残念です。五胡十六国はややこしすぎるので触れなかったのかもしれませんが、苻堅はこの時代屈指の名君でもありますし書いて欲しかったんですけどね。文章は読みやすく一般的にはおすすめしやすい本だと思いますが、人選についてやや不満がなくもありません。魏晉何北朝については、この本をきっかけとして、南北朝時代を扱った他の本にも手を伸ばしてみたほうがよさそうです。



この本を読んでいて、もう三国志には全然心が動かなくなってしまったなあ…とずっと感じていました。それはこの本のせいではなくこちらの問題ですが。三国志をずっと追いかけている人は飽きないんでしょうか。私が基本浮気性で、あちこちに関心を移す性分だからというのもありますが、正直もう三国志はいいや、と思ってしまいました。最近はアレクサンドロスやローマ史・中世ヨーロッパ史などの本が多くなっています。三国志は結局内戦なので、多くの国家が登場するヨーロッパ史の方に最近は魅力を感じるのです。一部の保守派が言うように中国史は似たようなパターンの繰り返しだなどというのは間違いですし、それぞれの時代の特徴というものがあるのですが、三国志にはもう馴染みすぎたのでしょうね。今後しばらくは、よほどのことがない限り三国志関連の本を新たに買うことはないような気がします。


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[読書]『倭国伝 中国正史に書かれた日本』 [三国志]

これはなかなかお得な本です。1450円と安くはないのですが、この1冊で中国の史料に書かれた日本の記述がまとめて読めるのです。邪馬台国論争には欠かせない魏志倭人伝から隋書倭国伝、旧唐書や新唐書・元史や明史の日本伝を読むことができます。それだけでなく三国志には高句麗や朝鮮・隋書には琉球伝まで載っているので周辺国の様子もわかります。古代史だけでなく、中国から見た日本の姿について知りたい人には重宝する1冊でしょう。


なんといってもインパクトがあるのは日本の戦国時代について触れている明史日本伝です。この中では、秀吉は薩摩の奴隷出身ということになっていて、木の下で信長と出会ったので木下人と名乗ったなどと書かれています。後に摂津の鎮守大将になったとも書かれていますが、これは荒木村重の間違いではないでしょうか?しかも信長の参謀の阿奇支(あけち)の討伐に秀吉を命じると、その間に明智が反乱を起こしたので秀吉は引き返してこれを誅殺した、などとも書かれているのです。明智光秀らしき人物が二人もいますが阿奇支って誰なのでしょうか。どうもかなりいい加減に書かれているとしか思えません。


明史のこの文章は岡田英弘さんがよく引用していて、「明の時代ですら日本の情報は間違いだらけなのに、これより1000年以上も古い倭人伝の内容がどれだけ信用できるのか」と言っています。明史の内容については、私達は同時代の日本史を知っているのでおかしいことがすぐに分かりますが、倭人伝にはほかに比較する史料がありません。倭人伝の内容が間違っていたり、嘘を書いていたりしても、それを証明する手段がないのです。倭人伝の記述を元に邪馬台国の位置や実像を探るという作業がどれだけ心もとないかよくわかります。邪馬台国に関しては、考古学の成果を無視した論考はもう相手にするべきではないでしょう。


個人的に面白かったのは三国志の挹婁伝です。この民族は後に靺鞨や女真と呼ばれる民族なのですが、この伝の中では豚を飼っているとか貂皮を産出するとか書かれていて、この点は後の女真と変わりません。民族のあり方は住んでいる土地が変わらないとそんなに変わらないもののようです。もっともこの時点ではこの中国東北の少数民族が中国を征服するまでに成長することなど、誰も予想していなかったでしょうが。
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[読書]坂口和澄『もう一つの「三国志」異民族との戦い』 [三国志]

中国史を読んでいても匈奴や高句麗など周辺国の動向が気になってしまう私のような人にとって、これはとても面白い本でした。漢の武帝時代の匈奴のような強大な異民族が三国時代には存在しないように見えますが、なかなかどうしてこの時代でも周辺の民族の存在はかなり大きく、魏・呉・蜀三国ともに異民族に苦しめられたり、あるいはその存在を利用したりしています。この時代には匈奴はすでに衰えていましたが変わって台頭してきた鮮卑や烏桓、西方の遊牧民である?・羌、呉の南方にいてしばしば呉を苦しめた山越などがこの本の主役となります。


なぜここまで異民族の存在が重要かというと、岡田英弘さんの本などで書かれているように、三国時代には飢饉や戦乱などにより、人口が大幅に減っていたため、兵力として異民族を組み込む必要があったからです。董卓の率いていた涼州兵は精強なことで有名ですが、この中には羌族の兵も含まれていました。鮮卑や烏桓もそうですが、異民族兵は厳しい環境で鍛えられており、贅沢も知らず戦闘経験が豊富なので頼りになるのです。そして、三国ともに異民族に働きかけ、敵国の背後を脅かすような外交政策を行っていました。曹操は山越をそそのかしていますし、孫権もまた高句麗と結んで魏の背後を脅かしています。演義では孔明の南蛮征伐くらいでしか出てこない異民族ですが、実は三国志の影の主役といってもいいくらい重要な存在だったのです。



この本では三国志の登場人物で異民族との関わりの深かった人物が列伝形式で紹介されており、その中には諸葛亮や郭嘉・陸遜のような有名人物から鐘離牧や軻比能のようなマイナーな人物までバランスよく取り上げられているので、三国志好きな人なら大いに楽しめる内容になっています。蜀の南蛮征伐についても多くのページが割かれており、諸葛亮が何を目指していたのか?についてもよくわかる内容となっています。


個人的に面白かったのは呉の辺境の様子です。呉書を読んでいると、ほとんどの武将が山越討伐に関わっていることがよくわかるのですが、その呉の武将の中でも諸葛恪がもっとも活躍しているのは意外でした。どうもこの人は口先だけの人というイメージが強いのですが、実際にかなりの功績があったのですね。こうした演義とのイメージの違いについても確認できるのが面白いところです。
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