So-net無料ブログ作成
検索選択
世界史 ブログトップ

[読書]ウィリアム・H・マクニール『世界史』 [世界史]

歴史の書き方として、まずは「人」に主眼を置く書き方があります。専門の学術書からビジネス書の体裁をとる本に至るまで、まず歴史は人が創るものだ、という認識があり、これが一面の真実でもあるので歴史上の人物をテーマとした本は今でも数多く出版されています。


しかし、こと世界史のような巨大なテーマを扱う場合、「人」だけでは到底その全体を描写しきれないのも事実です。歴史は英雄だけが紡いでいくものではなく、歴史上の人物もまたマクロな状況に巻き込まれて生きているわけです。では、「人」を中心に置かない場合、何を主人公に据えるべきか?マクニールは『世界史』におおいて主人公を自然環境や資源・技術にしました。この本においては人物は脇に追いやられ、史上の英雄も必要最低限しか出てきません。


こういう歴史の見方は、ストラテジーゲームの世界では「シヴィライゼーション」に近いものです。重要な資源を獲得し、技術を進歩させて強力な軍隊を作り、国力を増加させていくCivの世界は資源と技術が何よりも重要で、さらに言えば重要な資源が得られるような立地こそが最も重要なのです。ここにあるのはヘロドトスや司馬遷の書くような「物語的歴史」とは全く対照的な、ドライな世界観です。中央ユーラシアの遊牧民族が強いのは馬という重要資源を握っているからですし、ヨーロッパで封建制度が発達したのも騎乗して鎧と槍で武装した騎士が一定数入れば割拠することが可能だったから、という風に「なぜこうなったのか」が資源や技術の裏付けによってきちんと説明されます。


膨大な史実の中から必要なことだけを抜き出し丁寧に因果でつないでいくのはまさにプロの仕事だと思いますが、かといってこれが世界史の入門書としてふさわしいのか?となると疑問の残る点もあります。やはり人物に関する記述が他の世界史の本に比べて少ないですし、それだけ物語的な面白さは削がれてしまっているからです。そうした面白さも初学者には重要で、歴史を学ぶ重要な原動力になるからです。対策としては、人物重視の世界史の入門書と併読するのが良いかもしれません。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
世界史 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。