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瀬川拓郎『アイヌ学入門』 [日本史]

序章 アイヌとはどのような人びとか(アイヌの人びととの出会い
アイヌの歴史を掘る ほか)
第1章 縄文―一万年の伝統を継ぐ(孤立するアイヌ語
縄文語との関係 ほか)
第2章 交易―沈黙交易とエスニシティ(武者姿のアイヌ
千島アイヌの奇妙な習俗 ほか)
第3章 伝説―古代ローマからアイヌへ(子どもだましの作り話
古代ローマとアイヌ伝説 ほか)
第4章 呪術―行進する人びとと陰陽道(アイヌの呪術と日本
ケガレと行進呪術 ほか)
第5章 疫病―アイヌの疱瘡神と蘇民将来(アイヌ文化の陰影
アイヌ蘇民将来 ほか)
第6章 祭祀―狩猟民と山の神の農耕儀礼(カムイと神
アイヌの祭祀と古代日本 ほか)
第7章 黄金―アイヌは黄金の民だったか(黄金を知らない黄金島の人びと
渡海する和人の金堀りたち ほか)
第8章 現代―アイヌとして生きる(Aさんへのインタビュー
アイヌの開拓団 ほか)


これは去年買った本なのですがまだレビューしていなかったので。


内容としては歴史の本というよりは民俗学の本、という分類になるかと思います。
それぞれの章のトピックはどれも興味深いものなのですが、
とりわけ2章の沈黙交易の話と3章のコロポックルの話、
そして7章のアイヌと金の話が興味深かったです。


コロポックルとはアイヌの小人伝説ですが、
これはもともと古代ローマから日本に伝わり、そしてアイヌに入って伝説となったもので、
神話伝承というものはここまで伝わるものかと驚かされます。
そして小人のモデルはじつは北千島アイヌのことであることも書かれています。


東北市に興味のある方にはぜひ7章は読んで欲しいところです。
これは奥州藤原氏がアイヌとも交流を持っていたという箇所で、
中尊寺金色堂の金になんと北海道の金が使われていた可能性がある、というのです。
北海道の厚真に奥州藤原氏が送り込んだ一団が存在し、
彼らは砂金の採取のために来ていた可能性があるのです。


実はこのことは斉藤利男『平泉 北方王国の夢』の中で読んでいたことですが、
平泉とアイヌとの交流については瀬川さんの見解を元に書かれたのかもしれません。
いずれにせよ、日本とアイヌとの交流についての貴重な記録ですので、
この点だけでもぜひ読んで欲しいところです。


そして8章の内容ですが、アイヌの女性へのインタビューとなっています。
この中で、子供の頃「あなたはアイヌなの?」と聞かれて戸惑っていたところ、
「そうだよね、あなたは頭がいいもんね」と言われたと答えています。
大人は彼女のことを「アイヌなのに頭がいい」と思っていたのですね。
裏返せば、アイヌは頭が悪いという偏見が存在していたということになります。
明治時代にアイヌが受けた差別や生活の苦難についても書かれているので、ここもぜひ読んで欲しいところです。



花燃ゆ最終回の視聴率と全体の感想 [日本史]

平均として視聴率は平清盛ワーストを争うくらいだったわけですけど、ドラマの内容は視聴率とは比例しません。平清盛も、玄人筋からは割と評判が良かったはずです。

個人的感想としては、やはり地味だったのかな、という感はあります。主役の美和が無名の人物でありまた普通の人でありすぎた、ということはあるかと思います。吉田松陰が生きていた頃は良かったのですが、久坂や高杉など有名人物が退場していくに連れどんどん地味になっていって締まった感じは拭えません。

そして終盤は群馬の県令としての楫取の仕事ぶりを描いていたわけですが、確かに生糸というのは明治日本を支える国策産業であったわけですが、素材としてはやはり華やかさにはかけていたのかもしれません。そのせいかはわかりませんが、結局最終回も45分という寂しい終わり方でした。

来年はいよいよ真田丸ですね。真田信繁と三谷幸喜、これならつまらないことはまずありえないでしょう。やはり大河ドラマは実際に史実で活躍した人を描くべきだと思います。美和が主人公であることで、久坂や高杉などの活躍と美和の家庭部分とに話が分裂して描写が散漫になってしまう点があったと思うので。

信長や秀吉など、メジャーな人物が少々飽きられてきたので直江兼続だったり黒田官兵衛だったり山本勘助だったりと、地方の人物にも焦点が当たってきたところがあり、楫取素彦もまたそうした流れの中の人物だったかもしれませんが、真田信繁も「地方」の人ではあるかもしれませんが存在は極めてメジャーです。やはり史実を追うだけでドラマチックな展開になるような人物を主人公に据える、メジャー路線への回帰でしょうか。でも再来年は井伊直虎が主人公なんですよね……。

とにかく、来年の「真田丸」への期待は大きいです。平山優さんが時代考証を担当してるところも良いですし、素材が素材だけにつまらなくなりようがないと思うのです。来年の「英雄たちの選択」の信繁関連の番組にも期待したいと思います。
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東大生が優秀な理由:相澤理『歴史が面白くなる東大のディープな日本史2』 [日本史]




●東大の日本史は徹底して「なぜ」を問う


・朝廷はなぜ巨大道路を建設したのか?
鎌倉仏教が爆発的に流行したのはなぜか?
・秀吉がキリシタンに感じた脅威とは?
・江戸時代に蝦夷地が果たした役割とは?
・伊藤博文が憲法制定を急いだのはなぜか?


これらの質問にちゃんと答えられる大人って、どれくらいいるのでしょうか。少なくとも私には自信がありません。東大の日本史を受験する高校生は、この質問に答える能力が求められているのです。これが質問文そのものではありませんが、こうした歴史の本質に迫るような質問に応えられる思考力を持っているか、が試されるのです。


よく「受験は暗記が重要だから、日本の受験教育では本当の思考力を育てられない」と言われることがあります。でもこの東大の日本史の問題を見てからは、とてもそんなことは言えなくなりました。本書に書かれた東大の設問を見ていくと、解答に必要な史料は、設問の中できちんと示されています。この史料を使ってどう設問に答えるかが問題で、難関私大で出てくるようなカルト的な暗記能力とは全く違う、総合的な洞察力とでも言うべきものが問われるのです。


例えば穴埋め式の設問が「トマトパスタを作るんはどんな食材が必要か」という知識レベルの問題であるのに対して、東大の問題は「必要な食材は揃えてあげるから、これでどんな料理が作れるか見せてくれ」というもので、問われているレベルが全然違うのですね。ここで問われるのは普遍的な思考力で、それは歴史以外にも応用が効くものです。誰も知らない細かい知識を知っていてもクイズ王にしかなれませんが、思考力を鍛えていればどんな問題にも対応できます。社会で必要とされるのは後者でしょう。


学歴社会が批判の的になることがありますが、これだけの問題をクリアしている東大生には一定の能力があると予想されるのはおかしなことではないはずです。良問というのは解答を導き出す上で歴史について深く洞察することが求められるということなのだな、ということがよくわかる1冊です。
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